ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。毎週月曜日21時更新です。その他のタイミングでも時々更新します。

ゴミと化した日記のためのレクイエム

ブログというのは不思議なものでスッと、本当に何でもなく、立て板に水を流すように文章全体が出来上がるときもあれば、途中で筆が止まっていつまで経っても先に進めないときもある。先に進めなくなったものは無理に書こうとせずに、1ヶ月2ヶ月そのままほったらかしにして、違うことを書いた方がいいのかもしれないと最近思った。それは結局迷路に入り込んでいるのだし、一度そこから抜け出さないとスッキリと全体を見ることが出来ない。いくらもがいて強引に発射したところで今月の24日のような文章が出来上がるだけだ。


今日になって、電車の中で24日の日記を改めて読み直してみる。しかし何も感じない。なぜなら僕は心を無にしたまま読んでいるからだ。文字を文字として捉えない。半眼だ。尋常ではないレベルの半眼のまま読む。その姿、まるで菩提樹のもとで瞑想にふけるブッダのよう。「何でも来なさい」僕の体全体からはそうメッセージが発せられている。
この精神状態において僕は無敵。何が起きてもまるで動じない。そしてそんな僕を、これ絶好の機とばかりに次々と邪念が襲う。

「貴様のあの日記、最高に下らなかったぞ」
効かぬ
「虚栄心が見え透いてて実に恥ずかしいねえ」
効かぬ!
「寝不足と夜を言い訳にすればごまかせると思ってたの?全部バレてるよ」
効かぬっ!!

パワーだ。パワーでねじ伏せる。確実に、力強く。
その圧倒的「静」。
電車内で僕のことを見ている下々のものからは
「すごい……」
感嘆の声が聞こえてくる。
そう、俺はすごい。今までこんな男見たことがないっていうぐらいにすごい。

全てを読み終えた僕からはふっ、というため息。そして探し始める。圧倒的スピードで記事の削除ボタンを探し始める。その速さは蒼天航路第巻18巻の郭嘉を彷彿とさせる。

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蒼天航路第18巻の郭嘉さん。
「まるで別人ね」そんな声が電車内にこだまする。いまだかつてそのスピード領域に到達したものはいない。

そして僕の目に映ずる「編集」のボタン。
高鳴る鼓動、大きく見開かれる僕の半眼。そう、半眼からの全眼。さらにその目が血走っていく。
今ここに、過去の恥ずかしい日記消したいお化けが爆誕したのだ。
その姿は神か悪魔か。
息荒く、額には脂汗。目は全眼から血眼へ。指は己の罪に打ち震えている。群衆は固唾をのんで見守る。いや、この神々の戦いに指をくわえて見ていることしかできない。まさに聖戦。一進一退の攻防が続く。ここまで苛烈な戦いが過去についてあったであろうか?いや、ない。もはや日記を消したいのか、消したくないのか、それすらもわからない。泥試合だ。聖戦なのに泥試合。その最中、わずかに見え隠れする勝利への糸口。この長かった戦いに幕を下ろす時がやってきたのだ。もはや抵抗は無駄だ。1秒で終わらせよう。諦めて祈るがよい。

死ねぃっ!!!

神の手が編集ボタンに伸びたその時、突如として戦いは終わりを告げた。電車が目的地に到着したのだ。唐突に、それがまるで当然であったかのように。

ふーっと息を大きく一つ吐くと、僕はそっとスマホの画面を閉じ、電車を降りて家路を急いだ。

おしまい。