ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。毎週月曜日21時更新です。その他のタイミングでも時々更新します。

つまらない授業、つまらないプリントについて

授業のやり方、プリントの作り方を変えて、ほとんど手応えのないまま1ヶ月が過ぎた。一体生徒はどう思っているのか。聞いてみたところで否定的な意見はほとんど返ってこない。当たり前だ。僕は非常勤講師なので担任、副担任及びクラブの顧問を持つということはない。授業での関わりだけでは、生徒はたった1ヶ月で直截な意見を言ってくれるようにはならない。1学期が終わって2学期の始まりぐらいからお互いのことがわかって授業も本当に楽しくなってくる。それは生徒同士の関係でも同じことだろう。今はまだ、生徒からの意見を期待するべきではない。
それに僕の勤める学校自体旧態依然としていて、いまだに軍隊式に生徒を締め上げている。先生に逆らってはいけないということが骨の髄まで染み込んでいる。余計に言い出しにくいのだろう。
ただ、僕自身自らの授業に違和感を感じていて、何かを変えないといけないと思っていた。

そんな折、今朝学校に着くと数人の先生が僕の顔を見てクスクスと笑っている気がした。なんだ?顔に何かついてんのかな?と思ったが僕の顔に別段変わったところはない。気にせず授業の準備に取りかかろうとしたところで一人の年下の先生に声をかけられた。

「先生はずいぶんと面白いプリントをお作りになるんですね」

なん…だと……?

何故貴様が僕のプリントのことを知っている?誰にも言ってないはずだし、プリントは必ず見えないところに隠すようにしてある。僕の机を開けでもしない限りプリントを見られる可能性は無い。生徒か?生徒からの流出が起こってしまったのか!?しかしこの学校の生徒はよほどのことがない限り自分から授業のことで先生に話しかけたりはしないはずだが……
はっ!?
まさか……まさか貴様このブログの読者なのかっ!?そんな、この1日のアクセス数が10にも満たないアオミドロみたいなブログの読者が、こんなに近くにいたのかっ!
「いやぁ、行灯先生の日記はやっぱり最高だなあ。今日も先生のソーリーベイベーのおかげでビールがうまいぜ」
なんてことを言って、毎日こっそり僕の日記をおつまみにしてたのか!そうだろう貴様っ、正直に言え!



高速で頭をフル回転させてる僕にその先生は言った。

「先生のプリント印刷室に置きっぱなしだったんで勝手に見ちゃいました。」

あ…そう。

「ああいうプリントは初めて拝見しました。絵上手ですね」

はあ、まあ僕もこういうの初めて作るんでね。絵は下手ですけど。

「最初どなたの作られたプリントかわからなかったので職員室中聞いて回っちゃいました、アハハ」

馬鹿野郎!なんてことをするんだ貴様あぁっ!


とは思ったが、僕もアハハと笑ってその場をごまかした。
プリントをほめられて少し嬉しかったけど今日の授業でも違和感は消えなかった。確かにプリントを配ってすぐは生徒も楽しそうに見てくれるんだけど、授業に入ると途端に集中を欠く気がする。時折僕の抱腹絶倒トークで笑いが起き、それで皆こちらを向くがそれも長続きしない。単発単発で強引に授業を引っ張ってる気がする。何がいけないんだろうか……

今日の授業は昼までだったのでそれから帰ってお昼ご飯を食べながらワイドショーを見ていた。画面に書かれてある文字をつらつらと全部読み上げるアナウンサーを見ていて、書いてあるんだから全部読まなくてもいいのにな、と思った瞬間にハッとした。
それって俺のプリントも同じじゃん。

そうだ、書いてある文字をただ追っかけるだけの時間はつまらなくて退屈なんだ。多分そのワイドショーを見ている時の僕と、僕がプリントに書いてあることを話している時の生徒は、同じ顔をしている。
しかも僕のプリントにはほとんど僕の言うことが書き込んである。パソコンで打った後、印刷してさらに僕の細かい字で諸々のことを書いてしまってるのだ。それをわざわざ聞かされるなんてつまらないはずだ。言ってみたら「松本人志のすべらない話」で、あらかじめどういう話が展開されるかわかった状態でその人の話を聞く、というようなものだ。さらに言えば、クイズの解答が画面に出っぱなしの状態のクイズ番組みたいなものだ。誰が見るんだそんな番組。僕はわざわざ自分で自分の話をつまらなくし、生徒から考えるという行為を奪っていたのだ。生徒が面白そうに僕の話を聞いているときはプリントには絶対に書いてないことを話している時だけだ。
それからもう一つ気付いたが、僕の授業では書くということがない。何故なら全部僕が書いてしまっているからだ。しかしそれは裏を返せば話を聞いて色々書く、という生徒の楽しみを奪っていただけだったんじゃないだろうか。

なんてこった。僕が良かれと思ってやっていたことは全部裏目だったんだ……。

愕然とした。これは何とかしなくては。ただ、穴埋めは基本無しで、というスタイルは通したい。それをやってしまうと前の自分と同じことになってしまう。書き込みを変えよう。僕の書き込みの工夫で生徒の目を引かないと、何のために一生懸命書き込んでるのかわからない。だらしなく、話すことを全部書くんじゃダメなんだ。どんな面白い話もそれ一発で台無しになってしまう。こんな簡単なことに気付かないなんて僕は馬鹿なんじゃないだろうか。唯一、僕のプリントへの書き込みの中で有効だったのは絵の部分だけだったんだな。

改良されたプリントが出来あがったらまたここで紹介したい。今日はこれまで作った3年生のプリントを少し載せてこの日記を終えることとする。

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中国は宋の時代を作った趙匡胤が最後は弟に殺されてしまった説が有力なのでジャギ様を入れ込んだ。その目が弟に似ている。趙匡胤自体はジャギ様とは違ってめちゃめちゃいい奴だったみたいで途中「めんどくさいから皇帝やめていい?」とか周りに聞いてたみたい。
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こちらは宋末期の皇帝徽宗。ラーメンマン一族の女真が攻めてきたとき、速攻で皇帝の位を息子に渡した。というか押し付けた。皇帝としてはダメ。けど絵はめちゃくちゃうまい。生まれるポジションを間違えてしまった代表例みたいな人。
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プリント全体。書き込みが多く、ぐちゃっとしている。これをすっきりと目を引く構成にしたい。
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もう一枚のプリントから中国の英雄岳飛と売国奴秦檜の話をした。4コマは岳飛廟にお参りする時の作法。秦檜像にツバを吐きかけるのはガチ。秦檜像は常にツバだらけでピカピカしてた。ただ現在はツバをかける行為は禁止されてるみたい。だったら撤去してあげた方がいいんじゃなかろうか…
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もう一枚のプリントの全体像。右下はダルマ。ダルマの話をしている最中にふと、「だるまさんが転んだ」で壁に向かって目をつぶってそれを言うのは、ダルマが9年間壁に向かって座り続けた話と関係あるのかなと、ふと思った。