ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。毎週月曜日21時更新です。その他のタイミングでも時々更新します。

神戸「西」ブルベ200km(実質360km)日記~走行編~

昨日は台風の影響で停電するわ断水するわ、大変でした。本当は昨日更新したかったんですが。
以下、↓の一昨日の日記の続きです。
yoakenoandon.hatenablog.com





まずスタート地点に到着して、参加している人たちの格好および自転車にびっくりした。
僕の想像では、格好も自転車も適当な感じであまりお金もかけてないような人(すなわち自分のような人)が多数参加しているものだと思っていた。
ところが、どうであろう。
僕みたいに上は普通のジャージ、下は半パン+タイツなんて格好した人はほとんどいない。
皆ガチガチのサイクルジャージにレーパンを着用し、自転車もすげえフレームにすげえホイールが目白押し。中にはディープリムの方もちらほら居たり。


おいおい、まるでこれじゃレースじゃないか。

そうやって参加者の方の装備に目を白黒させているとブリーフィングが始まった。
ブリーフィングではコースの注意点や、コマ図の修正箇所など割と細々としたことまで説明が入った。
参加者の方はていねいにメモを取ってる方もいれば、眠そうにぼーっと話を聞いてる人も。
ちなみに僕は完全に後者だった。この行動が後々自分の首をしめることになる。
その後車検。
規程の装備がきちんと備え付けられているかチェックされる。
少し緊張したけど何の問題もなくパスできた。
車検が終わったら適当にスタートしてください、という感じだったので、そのまま出発。
8時直前だったと思う。

バラバラと出発してからは信号の関係で5、6人程度の集団になった。集団になってから先頭交代とかしないといけないのかな、と気になったが、全然そんなことはなく、前はずっと同じ人が引いていて40km/h弱のペースで延々と巡航し続ける。
前を引く人にとっては恐らくそれが最適なペースなのだろう。つくなら後ろついてもいいよ的オーラが背中からバンバン出ていた。世の中には化け物がいるものだ。
大体20kmその人がひきっぱなしで金魚の糞をさせてもらっていたのだが、そうしているうちに前の集団をドンドン吸収してしまい、気が付くと20人程の集団になってしまっていた。
この辺で、「あ、あれ?このまま前の人に引いてもらってたらブルベに参加した意味ないじゃん」とはたと気付く。

「昨日寝てないし、もうちょっといいんじゃないの?これから先まだまだ長いぜ。な?皆も金魚の糞やってんじゃん。気にすることないって」
という悪魔的な自分の誘惑に負けそうになりながらも、集団の最後尾まで下がってそのままそっと集団を離れた。
集団は結構なスピードで前へ離れていく。途端に激しくなる空気抵抗。

ぐはっ!やっぱ集団の中に居ときゃよかった!!

でも、もう到底前には追いつけないし、後悔しても遅いので風と仲良くしながらゆっくり走ることにする。

34,2km、通過チェックポイントのローソン姫路飾東豊国店。
ここは有人チェックではなく、レシートチェックなので何か買い物をしなくてはならない。
到着すると前の大集団の人達がまだ一息ついていた。
すき家で牛丼を食べてから何も食べてないし、出発前にドリンクも買ってなかったので、ここでカレーパンとアクエリアス2本、さらにレッドブル1本を購入して早速飲む。
そして休憩がてらチェックポイントの様子を写真に収めた。
ちなみにこれ以降、ゴールまで一枚も写真は撮っていない。
その精神的ゆとりがなくなったのだ。

このあたりもなんだか妙なもので、自分ひとりで走っているのならタイムもクソも無いけど、他に同じコースを走っている人がいると考えてしまうだけで、また実際走っている人を見てしまうだけで競争原理が働いてタイムが気になってしまう。
なるべく早くゴールしたいと思ってしまう。
もっとも、この時は寝不足の疲れが如実に表れ始めていたことも、早くゴールしたいと思う原因であったかもしれないが。

一息ついたところでチェックポイントを出発。
出発した時は4人程の集団で走っていたおり、僕は前から2番目を走っていた。
34,7km、播但連絡道に沿うように右折しなければならない。
が、僕の前を行く人はそのまま真っ直ぐ行ってしまった。
あれ?と思って、止まってコンピューターと地図を見る。コンピューターの距離は誤差が少し出て34,6kmとなっていたが間違いなくここだ。
直進してしまった前の人も、後ろから僕のやかましいラチェット音が聞こえなくなったことに異変を感じたのかすぐに引き返してきた。
以降第2チェックまでずっと播但連絡道沿いを走り続ける。
初め4人だったその集団も1人離れ2人離れ、気が付くと一人になっていた。
途中、このブルベに参加している女性二人が道の脇でパンクを修理しているのを見かける。
割と本気で走ってらっしゃる方のようで、慣れた手つきで直していた。
本気の格好をした女性のロードレーサーにかわいい人はいない、というのはこの間の大阪サイクルイベントでも皆さん口にした仮説であるが、この時も例に漏れず。

ちなみに僕はロードバイクを買ってから一度もパンクしたことがない。
結構な段差から落ちてしまったり、でっかい石ころやガラスを踏んだこともあったがパンクしなかった。
一応週に一度、必ず空気を入れるようにはしているが、これまでパンクを回避できてきたのはタイヤの耐パンク性能に助けられたからではないかとも思う。
タイヤはコンチネンタルのグランプリ4000Sを使っている。
ミシュランPRO3と人気を二分するタイヤであるが、噂に違わぬ耐久性、耐パンク性能で5000km走った今もまだまだ使えそうである。激しい使い方をしなければ10000kmもつと言われている。乗り味が硬いと言われるが、入力がダイレクトに反映される感じは個人的には好きだ。
値段も張るが、その価値はあると思う。

60,7km、第2チェック、ローソン神崎南インター店。
確か山の途中にあるローソンだった。時間は10時台後半だったような気がする。
ここは有人チェックで第1チェックのレシートを見せる。
多分ここでも何か買ってるはずなんだけど、何も思い出せない。
確かここでブルベ中最初で最後の小便をした気がする。

この第2チェックから先、ほとんど孤立してしまい、おまけにコースからは平坦なところが消え、登るか降るか、あの鋸状の部分が本気を出し始めた。

第2チェックも出発してすぐは恐らくちょっとした集団になったのだと思う。
途中からの記憶がぼんやりとある。
第2チェックからしばらくはとにかく細かい登り降りが極めて多くて、僕はこういう小さなジグザグの地形の処理にあまり慣れてないので、すぐに集団からは離されてしまった。
そして離されてしばらく、前にも後ろにも誰の姿も確認できなくなったところで、明らかにそれと分かる本格的な登りが始まった。

まだ100km以上あるんだし、無理しないで、ゆっくり登ろう。

ギアをインナーに落として時折ダンシングを織り交ぜながらボチボチと登る。
しばらく登っていると、前からブルベ参加者がドンドン降ってくるようになった。
お、おおぅ…皆やっぱり山はきついんだなあ。

ブルベ開始直後集団の中にいたタンデム(二人乗り)のカップルの方もこの山で捕まえた。
尚も登り続けていると、明らかに山を降りてくる参加者の姿が。
ん?何かトラブルだろうか?
よく見ると確か、5,6人のチームで走っていた人だ。
特徴的なディープリムからすぐに分かった。
一人だけ降りてきてどうしたのだろう?
その人はずっと下まで降りてしまったので、気にしないで登り続けていると…
下から超スピードで今降りたばかりのその人が登って来た。

え…ちょっ、もしかして山おかわりっすかwww

世の中すげえ変態がいるもんだ。

感心しながらマイペースで登っているとトンネルが出てきた(あやふやな記憶)。
トンネルを抜けると大体下り坂になる。この時もそうだった。
後はもう第3チェックポイントまでずっと下り坂のサービスタイム。
ちなみに下ってる途中さっきの山おかわり君のチームに合流してしまい、悪いから離れようと試みるも信号待ちで必ず合流してしまうという状態になった。
最終的にその人たちは第3チェックの直前で皆まとめてコースとは違う方向へそれてしまった。どこへ向かったのか、しかしその人達とはその後最後まで顔を合わすことはなかった。

第3チェックポイントはローソン西脇上戸田店。
スタートからの距離は92,8km、約半分である。
兄の友人で自転車屋さんのほっしゃんへのメールから到着時間は12時45分ぐらい。
ちなみにほっしゃんへのメールはこれ以降、途絶えてしまう。
精神力もここをピークに、あとは落ちる一方で、はっきりと楽しく感じていたのもここまで。

この第3チェックはレシートチェックだったのでまたまたお買いもの。
今レシートを見返すとレッドブルとブラックサンダーと肉まんを購入している。
そう、確かこの日、大阪は良い天気であったそうだが、僕の走るコースは曇りか小雨がぱらつく天気でとても寒かった。
体も冷えたままで、何か温かくてすぐ食べれるものを、という魂胆から肉まんを選択したことを覚えている。しかし肉まんではそう体は暖まらなかった。

第3チェックを出発、篠山方面へ向かう。
ここから第4チェックまでは距離が最も長く、コース的にも一番しんどいところだった。
中途半端に登っては降る、再び中途半端に登っては降る、のエンドレスループ。
一気に登って一気に降る、の方がどれだけましだったかわからない。
とにかく第4チェックまでの38km、この登り降りのせいで気付かないうちにひたすら体力を削られ続けた。
おまけに寝不足+疲労+レッドブルのせいでテンションがおかしくなってくる。
変に高揚したり、急に落ち込んだり。
空がまだ明るかったのが救いだった。
途中タンデムのカップルを再び補足する。

そして約120km地点、コマ図に無い分岐点が出てくる。

おいおい、きいてないぜこんなの…
道なりってことだろう、と思うもほとんど三叉路。
もしかして一番初めのブリーフィングでここの説明してたのかも。
左が道なりのような気もするが、怖かったので近くのローソンで尋ねることに。
結果右が正しい道だったと分かり、肝を冷やす。
危うく20km近く道を間違えるところだった。

第4チェックポイント、ローソン篠山安田店。スタートからの距離130,9km。
ここは有人チェック。
第3チェックのレシートを見せようと首から吊り下げてあるレシート入れをもぞもぞしていると、オダックス近畿のスタッフさんは僕のコマ図が気になる様子。

「いや、レシートこっちに入ってるんで」
とレシートを差し出すと、
「ん?いやそうじゃなくてこのコマ図の装備、よく考えてあるなあ、と思って」
お褒めの言葉を頂いた。
しかし、僕は初めてのブルベ参加なので調子に乗るわけにもいかず、
「いやネットで調べて適当に作っただけです」
さらっと流してみた。
まさかその裏で6時間にわたるつまらぬ闘いがあって、そのおかげでロクに睡眠がとれなかったとは、このスタッフの方は夢にも思うまい。

このローソンではチロルチョコを2個買った記憶がある。
僕はチロルチョコもチョコボールも中にはキャンディが入ってるタイプのものが好きだ。
昔からナッツが入っているタイプのチョコはどうにも好きになれない。
ちなみに僕の少し後にチェックポイントに入ってきた人はガリガリ君を食べていた。
このクソ寒い中よくそんなもの食えるなあ、とその時は思ったけど、よく考えたら皆ウインドブレーカーをちゃんと着てたし、寒い思いをしてたのは僕だけだったのかも。
そしてこのガリガリ君を食べてた彼とはこれ以降約40km、行程を共にすることになる。

第4チェックを出発してしばらく、今回のブルベルート最高点(標高421m)へ向けての山が出てくる。
135km超えてからのこの山越えはさすがに結構きつかった。
傾斜も十三峠まではいかないけど、そこそこきつい。
体にも結構ガタがきていて、特に膝が急激に痛くなり始めた。
この痛いのなんとかならんかなあ、とぺダリングを色々と変えて試行錯誤してみる。
結果一番力の入る1時のポイントで下ではなく前へ踏み出すと痛みがかなりましだということに気が付いてこれ以降そうやってペダルを回す。
途中三度タンデムのカップルを補足。やっぱり二人だと登りはかなりしんどいのだろうか。
そして星のように降ってくるブルベ参加者。中には歩いて登っている人も。

と、そこへ後ろから僕を追い抜きざまさわやかに
「お疲れ様です!」
の声。

おぉ、さっきのガリガリ君だ!

ついていこうかな、と思ったけど、まだあと60km+80kmあることにげんなりしてマイペースを保持することにした。
それでも、頂上までもうそんなに無かったということもあって、ガリガリ君とはそれほど間が空かなかった。
この山もやっぱりトンネルを越えると下り。

以降第5チェックまではひたすら下った。
途中ガリガリ君を補足し、しばらく一緒に降る。
後ろについてるのに飽きたところで追い抜くと、ガリガリ君はつかず離れずの状態で僕の後を追ってきた。
100km超えてから体はしんどいし、精神的にもつらい、早く帰りたい、ばっかりだったので少しの間でも二人で走ることができたのは救いになった。

ガリガリ君ともつれた状態のまま第5チェックポイント突入。
ここがゴールまでの最後のチェックで有人ではなくレシートチェック。
スタートからの距離154,9km、場所は高平小学校前のさびれたコンビニ。
残ってるレシートから時間は16時25分だったようだ。
スタートから8時間25分。この鋸状のコースを考えると割といいペースじゃないか。

コンビニでの買い物もいい加減飽きたけど何か買わないといけないのでエネルギーを即効吸収できるゼリーを買った。
後から来たガリガリ君、何かすごいものを買ってた記憶があるのだけど、何だったか全く思い出せない。
辺りも暗くなり始めて、雪山で凍死する人じゃないけど、寒い、眠たい症候群がボチボチと体に現れ始めた。

体が痛いのを少しでも治そうと入念にストレッチしている間にガリガリ君は先に出発。
2,3分後に僕も出発。

ここからは信号も多くなったのですぐにガリガリ君を補足。
164,2km、三田駅。
あまりぴったりガリガリ君の後ろにつくのはやらしいのでちょっと間を開けて走っていると信号の変わるタイミングでガリガリ君は青色、僕は赤色で止まらざるを得なくなった。
まだガリガリ君の姿は見えているので、とりあえず後を追うことにする。
168.8km、日下部西の交差点。
何の疑問も抱かずガリガリ君の後を追う。
しかし、このあたりからごまかせないぐらい体に疲れが来ていて、平地でガリガリ君についていけなくなる。結果、ガリガリ君の姿を見失う。
後はもうずっと一人。
次のコマ図は177,4km地点、弓の木の三叉路にて左方向直進を指示している。
前のコマ図(日下部西168,8km)からは約9km進んだ地点。

これまでコマ図は正確そのものだったし、サイクルコンピューターの距離も多少誤差があるとは言え、その誤差は1km前後でコマ図が指しているポイントがすぐそこにあるのだということはコンピューターの距離表示を見てれば明白だった。

が、コンピューター表示距離177km地点、弓の木の三叉路が出てこない。
コンピューターの誤差が原因か?
尚も3km進んでみる。
道の分岐そのものが全く出てこない。おかしい、もしや通り過ぎたのか?
迷っているのかどうかもわからないがどうも有馬の方へ来てしまったようだ。
とりあえず、このまま進み続けるのは、タイで「お前は今年一番のラッキーボーイだぜ☆」と言われて浮かれポンチになってしまうよりも、さらにまずい状況であるような気がした(その手口で以前詐欺にあいかけた)

日は沈んで辺りは急速に暗くなり始めている。こんなところで立ち往生は絶対にまずい。
コマ図をもう一度見る。
よく見てみると168,8km、日下部西の交差点のところに僕の字で

「要注意」

と小さく書いてある。


オ…オイ、何を、どう、要注意だと言うのだねチミは!?
詳しく言ってくれないと何もわからんじゃないかっ!?
ぐっ…このっ、ポンチ野郎が!!(涙)

自分に対して言い知れぬ怒りを覚えながらも
とりあえず「要注意」なので戻ってみることにした。

よく考えてみるとコマ図の弓の木の交差点のところで38号線と506号線に分かれるているということは、僕が走ってきて今戻っている15号線はそもそもの選択肢(日下部西からの)が間違っていたということじゃないの?
つーか、確か朝のブリーフィングで終盤に超やばい分岐があるから気を付けてね☆
みたいなこと言ってた気がする…

戻りながら朝のブリーフィングを思い出そうとするも、大事なところが全く思い出せず、何故か突然ソーラン節が脳内再生され始めたので思い出すのを諦めた。


ドッコイショードッコイショッ!!\(^o^)/
ちなみにそれまで脳内でかかっていた音楽はずっと
「涙の数だけ 強くなれるよ アスファルトに咲く花のように~♪」
という曲だった。
このソーラン節がかかった後、頭の中で音楽は流れなくなり、全く無音になった。

しばらく戻ると左手に暇そうなガソリンスタンドが見えたので何でもいいから道を尋ねようとお兄さんに声をかけてみる。
しかし、スタンドのお兄さんをもってしても「弓の木」という交差点はわからない様子で、
こりゃあ日下部西まで戻るしか無いなあ、とションボリしていると、お兄さん、僕を気遣ってくれたのかなんと店長を呼んできてくれた。
コマ図を見せながら必死にどこに行きたいかを説明するも、店長もイマイチ的を得ない様子。

しょーがない9km戻ろう、と腹をくくったところで、店長
「ちょっと待ってて」
というなり店の中に入ってゴソゴソし出した。
持って出てきたのはipad。
詳細な地図を僕に見せてくれた。
僕みたいなドビチクソにこんなに親切にしてくれるなんて!
おかげで日下部西まで戻らずにコースに復帰できるルートのあることが判明した。
店長に深々と頭を下げ、お礼を言う。
これは本当に助かった。ディ・モールト・グラッツェ。

それから約20分後、10kmほどロスしたものの、無事にコースに復帰する。
そういえば僕がコースを間違えたということは、当然先行していたガリガリ君もミスコースしてるはずなのだけど、引き返してくる彼の姿を見なかった。
もしかしてこの暗い中有馬の山中を迷いながら走り回るという想像するだに恐ろしい状況に陥っているのではないか。
気付いてくれていればいいのだけど。

コースに復帰したところで、辺りは全き夜を迎えた。
そして道路脇からは街灯の姿がほとんど見られなくなった。
暗闇というのはどうも人間の精神を不安定にさせるらしい。
不安や寂しさ以外に「俺は一体何のためにこんなことをしているのだろうか」という虚無感にこの頃から捕らわれるようになった。

あまりの暗さにふと、ほっしゃんのところで買ったライト一灯しか点灯させてないことに気が付いた。これではわざわざ2灯体制にしてきた意味が無い。こういう真っ暗な道を想定して、ライトについて色々調べ、fenix ld20を自転車にマウントしてきたのだ。
早速、fenix ld20の後ろのボタンをポチッと押してみる。


う…
うおおっ、ぱねええええええええええええええええええええええええ!!


Fenix ld20
その明るさ、その照射範囲、そして得られる安心感は心震える程のものであった。
ライト沼の住人達が自転車そっちのけで少しでもいいライトを探し求める気持ちがこのライトを点けた時初めてわかった。
明るさがここまで精神的プレッシャーを和らげるものだとは思わなかった。

スタートから192km、最後の最後、体がヘトヘトに疲れ果てたところで峠が出てくる。
コース設定者の鬼畜ぶりがうかがえる。
ほとんどの峠道はそうだと思うがこの峠にも街灯は一切無い。
登りが好きな僕もこの時ばかりは、何でこんな真っ暗な中山登らなあかんねん、アホか!!と腹立ちにも似た気持ちで一杯になった。
この時、肉体的には六甲山を自転車で登った時よりもさらにひどい状況だったが、ボロぞーきんのようになりながら、それでもなんとか登りきり、下りに入った。
当然下りにも街灯はないので、スピードを出さず慎重に下りる。
ここまできて落車はシャレにならん。
無事に下りきって、ゴールまでもう一息。

とにかく人、そして明かりが恋しかったので、行く手の先に車がたくさん走ってるのを見つけた時はとても嬉しかった。

そして201,5km、高塚公園、ようやくゴールを迎えた。
ゴールした時は感動も何もなかった。ただひたすらホッとした。
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受付で最後のコンビニのレシートとブルベカードをスタッフさんに提出する。
200km完走メダルを千円で購入できるようなので、記念に買うことにした。
ブルベカードとメダルは一緒に送られてくるようだが、まだ届いていない。

カップラーメンを無料で頂けるようなので、遠慮せず、いただくことにした。
先にゴールしていた参加者の方がいてたのでラーメンを食べながら少し話をする。
四国1000kmの完走者の方だった。
世の中、そんなに化け物がゴロゴロしていていいのだろうか。

ラーメンを食べ終わるとその場から動きたくなくなった。
あと80km、と考えると気が遠くなる。
でも、自転車を漕がないことには帰れないので渋々自転車に跨る。
スタッフさんやその場にいた参加者の方々に挨拶をしてペダルを回し始めた。
何故だろう、ブルベが終わるやコンピューターの表示がまたおかしくなり始めた。
でも、もうコマ図を見る必要はない。気にせず帰ることにした。

帰る途中、体のあちこちが痛いとか、寝不足のせいで無茶苦茶眠たいとかいうこともきつかったけど、一番こたえたのは寒さだった。
どれだけペダルを回しても体が温もってこない。
防寒用のトレーナーと手袋をリュックに入れる、わずか数百グラム増えるだけだったのに、それを怠ったことをとても後悔した。

三ノ宮までは一気にいけたけど、それからは休憩をはさまないととてもじゃないけど自転車をこげなかった。
弁天町まで来たときようやく、帰ってきたことを実感した。
難波まで来て、あと少しだけど、寒さに限界を感じてラーメン神座に入った。
本当はあの最高にジャンクな次郎系ラーメンが食べたかった…

そこからどうやって帰ったかよく覚えてないけど、家についたのは深夜1時前後だったと思う。
嬉しいだとかなんだとか、感じる余裕もなかった。
とにかく、寒くて、眠かった。
すぐに着替えて、震えながら布団に入ったことを覚えている。

23時間にわたる自転車の旅がこうして終わった。


最後にブルベに対する感想を少し。
ブルベを終えてみて、その内容はもろ手をあげて、楽しい、と言えるものではなかった。
正直、同じ360kmを走るなら、自分ひとりで走る方が楽しかったのではないかとも思う。
ブルベが多人数での自転車イベントである以上、一人で走るときと比べれば、様々な要素が付け加わってくるのだけれど、どうもそれらがほとんど全て僕にとっては制限のように感じられて仕方がなかった。
何より、ブルベの性格上、レースではないために、何のために走るのか、その目的や必要性が走っている途中によく分からなくなるのが一番大きな問題であったと思う。
「こんなことしてなんの意味があるのか」なんてことを考えてしまってはそのイベントが楽しく感じられるはずもない。
もっとも、これら今回ブルベから受けた印象は状況が変われば、ガラリと変わってしまうかもしれない。
例えば前日に十分な睡眠を摂れていたなら、防寒具をきっちり持って行ってたなら、誰か一人でも仲間がいてくれたなら、それだけで随分楽しいものになっていたのではないかとも思う。
ブルベに対する感想はこんな感じで、今はもう一度出てみたいような、もう出たくないような、微妙なところである。


なんにせよ、もしもう一回ブルベに出ることがあるならば、絶対に自転車でコース始点まで行かないことだけは確かであると言える。
今回ブルベが楽しく感じられなかった最大の原因は実はそれだったのではないかという、確信に近い疑惑を持っていることは君と、僕だけの秘密だ。

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どこやったっけなあ、とカードとメダルを探したらなぜかウエストポーチのサイドポケットの中に入りっぱなしで、しかもちょっと濡れたのかして印字がにじんでた……また機会があれば更なる距離に挑戦したい。