ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。毎週月曜日21時更新です。その他のタイミングでも時々更新します。

本町(大阪)の「田中の中華そば」に行ってきた

いや食べログでやれや、という話である。

もちろんそれはそうなのだが、この日記がこのタイトルになる前は『保護猫の里親会に行ってきた』というタイトルだったのだ。それがどこをどう間違ったか里親会に行く前にラーメン屋に寄って…みたいな話を書いているとその部分があまりに長大になりすぎ、タイトルを見てここに来た人が「あれ、俺ラーメン屋のレポ見に来たんだっけ?」となりかねなかったのでやむを得ず切り離すことにした。なんというか、つまり、そういうことだ。

以下保護猫のことを書きかけてそれを忘れる様子をご覧あれ。保護猫の里親会のことは後日ちゃんと書きます。



先週の日曜日、義姉家族が里親会(保護猫の里親を探す会)に参加するというので、嫁さんと僕も付き添いで行ってみることにした。僕は猫の絵をよく描くし猫は好きだが飼ってはいない。ただ興味本位で里親会がどんなものなのか行ってみたいと思った。行ったら飼いたくなるだろうな、とも思ったが。

場所は大阪の本町。天候はあいにくの雨。1時半に義姉家族と待ち合わせだったので昼を済ませておくべく、近くのラーメン屋に入ることにする。電車に乗ってる間に僕がせっせと調べて嫁さんの感覚にジャストミートしたのは「田中の中華そば」というお店。正統派しょうゆラーメンぽい画像が食べログにたくさん載せられてある。このあたり嫁さんはシンプルでオーソドックスなラーメンを好む傾向にあり、僕はどちらかと言うと変わり種を好む傾向にある。天下一品?もちろん大好きですよ。

それでともかく、その日は嫁さんの感覚に従い田中の中華そばに行くことになった。なったはいいが、GoogleMap大先生の指し示すお店の場所に到着したにも関わらずラーメン屋がない。そこに見えるのはバーっぽいシャレオツなコンクリートの建物だけで「田中」とも何とも書いてない。まるでスタートレックに出てくる宇宙船みたいで、まさかここじゃないだろうと思ったが、そこだということが店の扉に張ってある張り紙で分かった。分かりにくいってレベルじゃねーぞ。その張り紙には簡単に「マナーを守って」みたいなことが書かれてあった。しかし全然嫌な気のしない貼り紙で、こういうの書くのも神経使うだろうなと思った。

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外観はこんな感じ。この建物をラーメン屋と判断するのは至難の業だ。コンクリのモッコリが良い。
僕たちの前には二人待っていて、二人ならすぐだろうと僕らも待ってみたがなかなか入店に到らない。もう一度スマホで調べてみると店の中には6席しかない。なるほど回転が遅いわけだ。もしかしたらお客さんが入れ替わったばかりだったのかもしれない。他の店に行くことも考えたがせっかくしばらく待ったのだからと、何が何でも「田中」を味わうことに2人で決めた。

小雨の降る中15~20分ほど待ってようやく入店。店の中は薄暗くて落ち着いた雰囲気。やっぱりバーだったんたろうか。客席はカウンター6席のみ。外から見えてたコンクリのモッコリ部分は荷物置きになっていた。店員さんは男の店主さんと、接客のお姉さんの二人のみ。あの男の方が田中さんなのだろうか。
お水はカウンターにピッチャーが置かれてあって、変わっていると思ったのはお水を入れる容器が二種類分けて置かれてあったこと。一つは普通のプラスチックのカップ、もう一つは金属製のタンブラー。金属製のタンブラーで夏のムシムシとした日に飲むお水はおいしかった。

メニューを見るとラーメンは「中華そば」と「貝そば」の二種類のみ。潔い。値段は両方とも800円。大盛り(+100円)にできるのが嬉しかった。あとはトッピングとごはん類のサイドメニュー、それからドリンクメニューがあるだけだったと思う。といってもそれも全部三種類ずつぐらいしかない。
嫁さんが貝そばを、僕が中華そばの大盛りと白ご飯を頼み、それぞれ煮卵をトッピングした。メニューには「麺の硬さの注文はお断りさせて頂いております」と書かれてあって、ラーメン屋で麺の硬さを聞かれる度「普通」としか答えたことのない僕のような人間には、その断り書きは大変好印象だった。分かりやすくシンプルでいい。お客に余計な惑いを与えない。

待ってる間流れる音楽は詞の無い、うるさくない音楽でそれも僕には好感が持てた。一度どこかのラーメン屋でソーラン節を聞かされながらラーメンを食べさせられたことがあったが、あれはまことに食べにくかった。頼むからゆっくり食べさせてくれ。ラーメン食べてる奴のテンション上げてどうするつもりだ。

「田中の中華そば」の照明はほの暗い関節照明で気分が鎮まる。良い感じだ。僕は蛍光灯の光があんまり好きじゃなく、職場でも日中は薄暗い社会科準備室の中で蛍光灯も付けず作業をしている。時々人が入ってきて「うぉっ!いたんですか!?」みたいな感じでビックリされる。だってその方が涼しく感じるしなんか気持ちが楽になるのだ。

そんな風に店の中の様子を眺め回していると店主がチャーシューを電動のスライサーでていねいに切り始めた。チャーシューを薄く切って出すのか。見ているといくつかのチャーシューを交互に切っているようであった。にしても電動スライサーとは、なかなかラーメン屋では見ない代物である。

女性スタッフの方がテキパキと洗い物をこなす姿に感心しているとラーメンがやってきた。
ラーメンは端的に白と黒。色のついてないのが貝そばで色のついてるのが中華そば。
腹が減ってたのでスープを味わうことなく僕はいきなり麺にがっついた。食べログにはクセの無い麺と書かれてあったが、僕はそうは思わなかった。すごくツルツルしている麺だ。歯切れ良く、とにかく何かでコーティングされてんのかってぐらいツルッツルの麺で、特徴的でおいしいと思った。
中華そばのスープは上品。攻撃的ではない。二郎系などのもう単純に「暴力」というような味ではなく優しくホッとする味。それは北斗の拳で例えるならラオウとトキほど違う。その味は店の静かな雰囲気ととてもマッチしていて、雰囲気ごとラーメンを味わうような、そんな気がした。
断っておくと僕は二郎系のラーメンも大好きである。二郎系ほどサディスティックバイオレンスという言葉が似合うラーメンもない。二郎系を食べてる時の自分が豚になってしまった感覚、priceless。
ラオウも好き。トキも好き。そういうことだ。

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田中の中華そば。トッピング無しの状態でチャーシューの他メンマとミツバがついてる。上に北斗の拳のトキを描いたがなんか違くなった。でも田中の味はトキの味。

しばらく中華そばを堪能したところで嫁さんの貝そばを少し頂く。


おおうっっ!!?
なんじゃこりゃ!?
うまいっ!うますぎる!

貝そばなのに貝の姿は見えない。スープを貝から取ってるということか。そのスープも貝と言えば貝。しかしなにかもっと上質な香りを感じる。嫁さんには同意してもらえなかったが、僕は直感的に牛っぽいと思った。ビーフカレーなどを食べた時に感じる、牛の醸し出すあのまろやかでクリーミーな香りを感じたのだ。貝だけでこのような味を出せるものなのだろうか。それとも何か別の……分からん。が、うまい!うまいってか、もはやすごい。
驚きを感じたのはこの貝そばの方で、食べた瞬間トキの有情破顔拳くらったみたいになった。

さらにチャーシューを食べたときも驚いた。なるほど、チャーシューってのは薄い方が柔らかくて食べやすくて美味しいんだ。そのチャーシュー自体もものすごくレアな食感で、電動スライサーがこの店に置かれてある理由、注文が通ってから一枚一枚スライスする理由がよくわかった。

一生懸命にラーメンを作り、チャーシューをスライスしまくる店主を眺めていると、その昔太宰治が「文章を書いて人に読んでもらうことは、料理を作って人に食べてもらうことと同じだ。読者の方に美味しい料理を提供できるよう僕も懸命に骨を砕いている」みたいなことを言ってたのを思い出した。全くそうだ。僕はこのブログで、田中の店主のように美味しい料理を読んで下さる方に提供できているだろうか。いや、どうにも僕はこの店主のように熱心ではないな。まだまだだ。
そんなことを思った。


二人ラーメンを食べ終わるともう待ち合わせの1時半を回っていた。二人大満足かつ大急ぎで田中を後にする。接客のお姉さんは最後までいい感じであった。
食べログで良い評価がつくはずである。この雰囲気でこの値段、そしてこの味。何をもがさつにしていない。一つ一つ非常にていねいに作られていると感じた。店主がお客に美味しいものを提供したいという熱意がヒシヒシと伝わってくる。雨でなければもっと混んでいたのだろうか?本町という激戦区で生き残って行くこと自体ただ事ではないのだろう。久しぶりにもう一度食べてみたいなと思えるラーメン屋だった。次来るときは貝そばをたっぷり堪能したいな。


そして、そう、この日記の本題はここからなのだ。

ここからなのだがもはや書いていて何の日記か分からなくなってしまったので、この先保護猫との対面の部分は次の回に譲ることとする。



かくしてこの日記の一番上に戻るわけである。
拙い食レポ、見ていただいてありがとうございました。
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多分、田中の貝そばを食べれば皆こうなる。